隣の不器用王子のご飯係はじめました
私は畳んだ麻袋の上に、プラスチック製のバットやピンポン玉運びに使ったお玉なんかをのせてまとめて運ぶ。
「小野山さん、こっちの旗もお願いしていい?」
「はーい。この上にのせてください」
歩くうちに運ぶ物が増えていく。
落したら拾うの大変だから気を付けないと。
……そんな風に思って運んでいる道具ばかり見ていたから、足元まで見えていなかった。
「あっ、小野山ちゃんそこ気をつけて!ボールがたくさん……!」
誰かが注意してくれたのと、私がそこら中に転がった小さなボールを踏んでバランスを崩したのは、ほとんど同時だった。
あ……、と思ったときには、手に持っていた道具たちが宙に舞っていた。
右の足首が不自然な方向に曲がった感覚と、その後すぐ襲われる衝撃。そして肘に硬いじゃりがめりこむ。
痛い……どうやら転んでしまったらしい。それも何かの競技中なんかじゃなくて、まさかの片付け中に。