隣の不器用王子のご飯係はじめました
「在花ちゃん!」
杉野くんの慌てたような声が聞こえる。
きっと今、色んな人に見られちゃってるかもな。う……恥ずかしすぎる……。
「小野山ちゃんごめん!もっと早く注意してればよかった!あちこちすりむいちゃってる……」
さっきボールが散らばっていると注意しようとしてくれた子が申し訳なさそうに近寄ってきて、「立てる?」と聞きながら手を差し伸べる。
私はありがたくその手を取って立ち上がろうとするけれど、その瞬間ものすごい痛みが右足首に走る。
「いたっ」
「嘘、もしかして足くじいた?」
「そうかも……」
ああもう……。
さっさと片付けろと言われていたのに、私のせいでめちゃくちゃ滞ってる。
「在花ちゃん、保健室行こう。オレの肩につかまって」
駆け寄ってきた杉野くんが、しゃがんで肩を貸してくれようとする。
だけど私はそれに首を振った。