隣の不器用王子のご飯係はじめました
「ううん。ごめん、杉野くんは私がこけた時に散らかしちゃったやつ片付けてくれない?皆も。私は大丈夫だから」
「何言ってるんだよ。そんなの怪我人優先に決まってるだろ」
「お願い……」
もうこれ以上迷惑かけたくない。
足は痛いけど、これぐらい自分でどうにか……。
「小野山さん!」
突然、コーンバーで仕切られた向こう側から声がした。
振り向くとそこには、走って来たのか、はあはあと息を切らしている遠坂くんがいた。
遠坂くんは仕切りをまたいで、私のすぐそこにやってくる。
「保健室、俺が連れてく」
「遠坂、お前何で……」
「杉野は片付けに戻って。次の競技早く始めなきゃいけないでしょ」
思わぬ救世主に、目から涙が溢れそうになる。
遠坂くんはしゃがんで、私の手を取り肩に回す。
「ごめん遠坂くん……」
「ゆっくり立ち上がれる?しっかりつかまって。体重かけていいから」