隣の不器用王子のご飯係はじめました
歓声とも悲鳴ともつかない声があちらこちらから上がった。
遠坂くんはそんな声は完全無視で、すたすたと保健室のある方向へ歩く。
「と、遠坂くん……!」
「こっちの方が速いから」
遠坂くんは何でもなさそうに言う。
私はといえばパニックになって顔がものすごく熱くなり、心臓の音はドキドキと速まりだす。
さっき転んだ時とはまた違った種類の恥ずかしさだ。
「で、でも重いでしょ!?下ろして!」
「別に重くない。小野山さんの一人や二人余裕」
必死になってそう言っても、遠坂くんはいたずらっぽく口元に笑みを浮かべるだけだった。