隣の不器用王子のご飯係はじめました
聞き捨てならない言葉が聞こえて、私は全力で否定するも、先生は耳を傾ける素振りもなく行ってしまった。
ああもう、そんなことを言われたら気まずい雰囲気になっちゃうじゃん……。どうしてくれるの先生!
私は椅子に座って、物思いにふけるように外を眺める遠坂くんに恐る恐る声をかける。
「あの、本当にありがとうね。遠坂くんが来てくれて嬉しかった」
「うん。小野山さんがいるって思って見てたら、すごい派手に転んでたから思わず」
うっ……
そう言われると、さっきの転んだ瞬間がまた記憶に蘇ってくるんだけど。
とはいえ、とりあえず遠坂くんに何かお礼ができないかな?
私はそう考えて、一つの案が浮かんだ。
「ねえ遠坂くん、1組の一番廊下側の後ろから二番目が私の席なんだけど、置いてあるトートバッグ持ってきてもらえない?」
「え?」
「荷物置きっぱなしでさ。私、足痛めちゃったから動くの大変で……。たぶんそろそろ午前の部が終わって皆戻ってくるから、その前に」