隣の不器用王子のご飯係はじめました
手を合わせてお願いすると、遠坂くんはうなずいて立ち上がった。
「わかった。先生から小野山さん見張っとけって言われてるし、全力で取って戻って来る」
「う、うん」
「100メートル走の雪辱を果たすようなつもりで」
「そこまで急がなくていいからね⁉廊下走っちゃだめだからね⁉」
「心配しなくても冗談だから」
遠坂くんはおかしそうにくすりと笑い、保健室を出て行く。
そして言っていた通り、なかなかの早さで戻ってきた。
私はトートバッグを受け取りながら尋ねる。
「ねえ遠坂くん、お昼ご飯はどうするつもり?」
「え?いつも通り今から売店行って何か買うつもりだけど」
やっぱりそうか。
私はトートバッグの中から、保冷バックに入ったお弁当を取り出した。
「じゃあさ、良かったらこれ食べて!」
「え?」
「今朝作ってきたお弁当。傷まないように保冷剤たくさん入れてたから、ご飯とかちょっと固くなってると思うけど……」