隣の不器用王子のご飯係はじめました
彼が包みを丁寧に解いていくのを見て、私はいつも夕ご飯を食べてもらうとき以上にドキドキする。
「あの、本当に大した物じゃないし、作って冷凍したのを解凍してるから味落ちてるかもだし、遠坂くんも昨日食べたのと同じおかずも入ってるし、もともと自分用だったから色合いとか可愛くないし……!だから本っ当に期待しないで!」
私の口からは、聞かれてもいないのに言い訳の言葉が次々と出てくる。
遠坂くんはそれには何一つ答えず、とうとうお弁当箱の蓋を開けた。
「……おいしそう」
今日のお弁当の中身は、昨日の夕食にも出したポテトサラダにピーマンの炒め物、それから作り置きの鶏つくねときんぴらごぼう。隙間を埋めるために、ソーセージなんかも適当に詰めてある。
……せめてプチトマトとか卵焼きとか入れるべきだったかも。そうしたらもうちょっと可愛らしかったのに。
色々と後悔はあるけれど、私の内心なんて知る由もない遠坂くんがお弁当を食べ始める。
いつもと同じように黙々と食べ進めている。