隣の不器用王子のご飯係はじめました
「あ、あの……どうかな?」
いつも自分から感想を聞いたりしないのに、今回は何故か怖くなって聞いてしまった。
遠坂くんはちらりと私の方を見て、わずかに口角を上げる。
「おいしい。このつくねすごく好き」
「ほんと⁉」
「強いて言えば、ちょっと少ない」
「あはは。じゃあ今度はもっとたくさん作らないとね」
私はごく自然にそう言ってから、今度っていつだよ、と心の中でツッコミを入れる。
弁当箱の中身はあっという間に空っぽになった。
遠坂くんは弁当箱を丁寧に包んでから私に返した。
「ごちそうさまでした」
「お粗末様でした」
「小野山さんのおかげで午後から頑張れそう、です」
遠坂くんは立ち上がって、グラウンドの方を眺める。
既に昼食を済ませた人たちが集まってきている。
「選抜リレー」
遠坂くんが外を見たまま言う。
「今度こそ杉野に勝ちたい」