隣の不器用王子のご飯係はじめました



強い意志が感じられるその声。

100メートル走のときは悔しそうだったし、リレーだから1対1の勝負というわけにはいかないけど、今度こそ勝てるといいな。


だけど、同時に少し不思議でもあった。



「遠坂くん、どうして杉野くんとの勝負にこだわってるの?」



初めは、テストの成績で杉野くんに勝てなかったリベンジ的なものかと思っていた。

だけどよく考えたら、そもそも遠坂くんがテストで負けたぐらいでそこまで悔しがるようなタイプにも見えない。


遠坂くんは振り返って私を見て……すぐに目を逸らした。




「……小野山さん、前に杉野のこと『かっこいい』って言ってた」

「え?……そんなこと言ったっけ?」



記憶を遡ってみるけど、特にこれといって思い当る節はない。

だけど遠坂くんはきっぱりと断言した。



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