隣の不器用王子のご飯係はじめました



「言ってた」

「そ、そっか」

「それ聞いたとき、何でだかかわからないけどすごいもやもやして、今度は絶対にあいつに勝ってやりたいって気分になって。そしたら小野山さん、俺のことも少しは……」



遠坂くんはまだ何か続けようとしていたけど、その時ちょうど昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。



「そろそろ行く。小野山さんはちゃんと安静にしててね」

「うん。あ、遠坂くん」



保健室を出て行こうとした遠坂くんが私の声に振り返る。



「リレー、頑張ってね」



遠坂くんは軽くうなずいてグラウンドへと向かった。







涼しい保健室からの競技観戦、最高すぎる。


グラウンドで応援していたときより距離は遠いし、自分一人だけ快適な場所にいるということに罪悪感を覚えないでもないけど、やっぱりクーラーのある部屋は最高。



「保健室、特等席でしょ」



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