隣の不器用王子のご飯係はじめました
そして、その差が開いたり縮まったりはあったものの、結局その順番を保ったまま、第四走者がアンカーにバトンを手渡した。
アンカー。つまりは100メートル走のときのメンバーがほとんど再集結している。
「杉野くん、やっぱ速いなあ」
赤いゼッケンの杉野くんは、もともと僅差になっていた緑と黄色のゼッケンのクラスをあっという間に抜かして一位に躍り出た。
だけどその二人をすぐに抜かしたのは、遠坂くんも同じだった。
100メートル走のときに見た、杉野くん対遠坂くんの対決が再び繰り返される。あのときと違うのは、走り始めた時点で遠坂くんの方が少し遅れていたということ。
距離がほとんど縮まらないまま、中盤に差し掛かった。
私は祈るような思いで二人を見る。
……二人がそろそろ保健室から一番近いポイントを通る。
そのポイントは逆に、グラウンドで応援している人たちからは一番遠い。