隣の不器用王子のご飯係はじめました
『……非常に僅差でしたが、一位2組、二位1組です!』
外でわっと大きな歓声が上がった。
私もその放送を聞いて、足を痛めていることを忘れて立ち上がった。
「勝った……すごい。走り始めたとき負けてたのに……」
グラウンドにいる、たくさんの人に囲まれた遠坂くんが、私のいる保健室の方を向いたのがわかった。
その時、私のスマホが鳴った。
『勝てた。小野山さんの応援嬉しかった』
遠坂くんからそんなメッセージが入っていた。
応援、聞こえてたんだ……。
私は胸元でぎゅっとスマホを握りしめる。
今、遠坂くんはクラスメイトやファンクラブの人たちに囲まれて、きっとたくさんの祝福の言葉を受けているのだろう。
そんな中で、すぐに私にメッセージを送ってくれたことが、たまらなく嬉しかった。
『見てたよ。おめでとう』
そんなメッセージを返して、私も遠坂くんの方を見る。