隣の不器用王子のご飯係はじめました
気のせいかもしれないけど、目が合っているような気がして、大きく心臓が高鳴った。
胸の辺りが、熱いような、苦しいような。
……本当は結構前から気付いていて、だけど、見ないふりをしていた感情がある。
どうして由梨のことを素直に応援できなかったのか。それでも「応援する」と言ったら、あんなにもやもやしてしまったのは何故か。
「……好き、なんだよなあ。きっと」
大切な友達と同じ人を好きになってしまった。そのことを、ずっと認めたくなかった。
だけどそろそろ、見ないふりをするのも限界かもしれない。
イケメンで、頭脳明晰で、スポーツ万能で、周りに対して超クールなこの学校の王子様。
だけど本当は、皆と何を話して良いのかわからず、つい相手を睨んでしまうような不器用な人。
いつもは無表情なのに、私が作ったご飯を食べるときは、子どもみたいに無邪気な笑顔を浮かべてくれる人。
そんな彼を、……私はいつしか好きになっていた。