隣の不器用王子のご飯係はじめました
三つの変化
◇
・
保健室の先生が言っていた通り、足の痛みは一週間もすればすっかり消えていた。
体育祭という一大イベントが終わったこともあり、すっかりこれまでと同じ日常を取り戻した。
──かのように見えた。
「ほら、ねえあの子よ。遠坂くんがお姫様抱っこして保健室まで運んだっていう……」
「え、どの子どの子?」
「ほら、あの髪の毛下ろしてヘアピンしてる子」
「えぇ?思ってたより地味なんだけど。もっと美少女想像してたのに」
「わかる~。よっぽどの美人だと思ったよね。ていうかあのレベルならあたしらの方が全然上じゃない?」
あの、顔も知らないどこかのクラスの皆さん……全部聞こえてるんですが……。
私は廊下側の窓から向けられる視線に居心地の悪さを感じ、大きくため息をついた。
近頃、休み時間になる度、たくさんの人がこうして私のことを見に来るのだ。
・
保健室の先生が言っていた通り、足の痛みは一週間もすればすっかり消えていた。
体育祭という一大イベントが終わったこともあり、すっかりこれまでと同じ日常を取り戻した。
──かのように見えた。
「ほら、ねえあの子よ。遠坂くんがお姫様抱っこして保健室まで運んだっていう……」
「え、どの子どの子?」
「ほら、あの髪の毛下ろしてヘアピンしてる子」
「えぇ?思ってたより地味なんだけど。もっと美少女想像してたのに」
「わかる~。よっぽどの美人だと思ったよね。ていうかあのレベルならあたしらの方が全然上じゃない?」
あの、顔も知らないどこかのクラスの皆さん……全部聞こえてるんですが……。
私は廊下側の窓から向けられる視線に居心地の悪さを感じ、大きくため息をついた。
近頃、休み時間になる度、たくさんの人がこうして私のことを見に来るのだ。