ネトゲ女子は結婚生活を楽しみたい!
さすがに歳のせいか、天ぷらはあまり好まないようだった。

「直真と喧嘩したらしいな」

「そうなんです!」

「何が原因だ」

「それは―――言いたくないです」

ウニを食べたせいか、ぽろっと言い出しかけた。
危ない。
心が寿司と天ぷらでほだされかけた。
さすが天下の宮ノ入の会長だけあって、人心(じんしん)掌握(しょうあく)()けている。
さくさくしたエビ天を天つゆで食べて、次の注文をした。

「さつまいもをお願いします」

「子供を作らないと言い出したか」

エビの尻尾が皿にぽとんっと落ちた。

「………なんで、わかったんですか」

「あいつの考えそうなことだ」

温かい蕎麦を食べながら、会長は笑った。

「この間、従弟である雅冬(まさと)の親が宮ノ入の社長の座を狙ってクーデターを起こしただろう?直真はそれを危惧している」

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