ネトゲ女子は結婚生活を楽しみたい!
それに比べ、直真さんの口元は切れて血が出ているし、頬に赤い指の痕が残っているし、スーツのジャケットは脱いできたのか、シャツのボタンが千切れているし、いつもの余裕ぶった可愛げのない直真さんの姿じゃない。

「有里」

「なんですか」

「言い過ぎた。悪かったな」

「……いいですよ。それは」

「宮ノ入家のことを詳しく話せば、俺といたくなくなると思っていた」

「言い出しにくいこともあるとわかってました。私が腹を立てたのはそういうことじゃないんです。子供だって、直真さんがいらないなら、仕方ないって思っていました」

「有里」

「ただ私には何でも言ってもらわないと」

「何でも?」

「全部です。オール。考えていることも気持ちも―――悩んでることもです」

「できるかよ」

「私は直真さんの相棒なんですから。話すって約束してください」

そう言うと、直真さんは髪をぐしゃぐしゃとかいた。

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