ネトゲ女子は結婚生活を楽しみたい!
悪い男
徹底的にやる―――そう直真(なおさだ)さんは宣言すると、会社ではなく、朝一番に瀧平(たきひら)の家に行くと告げた。

「行くぞ。有里(ゆり)

「……はあ」

「なんだ、その気の抜けた声は」

いや、気は抜けてないよ?
直真さんはヤクザよろしく、前髪をあげ、眼鏡をかけていた。
どこからどう見ても、借金の取り立てにきたヤクザにしか見えない。
サングラスをかけてないだけでセーフだと思っているなら、大間違いなんですが?と言いたかった。
その後ろをついていくと、インターホンも鳴らさずにすたすたと家の中に入って行った。

「いい朝ですね。瀧平社長」

『ひっ!』だか『えっ!』だか、わからない声をあげて、朝食の味噌汁をひっくり返しそうになっていた。
食卓を見る限り瀧平家の朝は和食らしい。
奥様と姫愛(ひめ)ちゃんは口をポカンと開けたまま、直真さんを見ていた。
そうなるよね。
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