ネトゲ女子は結婚生活を楽しみたい!
「私は人妻なんだってばっ!直真さんの妻!わかる?他の男と二人で食事したら、どんな目にあわされるか。海に沈められるんだからね!」

「おおげさだな」

いや、マジだからね?
思わず、真顔よ、真顔。

「有里が俺を心配してくれるのは嬉しいな」

ダメだ。
なにこのポジティブ野郎は。
何を言っても無駄だ。

「レストランに行こうか」

時計を見た。
メンテ明けまで後一時間―――祈るように手をギュッと胸の前で握りしめた。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「前菜は海老とサーモンのテリーヌに野菜、コンソメのジュレ添えになります」

海老、サーモン、もう頭の中に合成素材のアイテムにしか単語が変換されない。
美味しいのか不味いのかすら、謎。
虚ろな目で皿を見ていた。

「有里が八木沢専務と結婚した理由はなんだ?」

直真さんと結婚したのは―――ん?
なんでだった?
思い出せない。

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