ネトゲ女子は結婚生活を楽しみたい!
実家【直真視点】
昼休み、有里はスマホ画面を見ると嫌そうな顔をし、『どうしたら、この難局を乗り切れるのか』とブツブツ呟いていた。
何があった?
大抵、のんきな顔をして昼休みはスマホで延々とわけのわからないゲームをしているというのに―――まあ、どうせくだらないことだろうが。
そう思いながら、こっちはニュースをチェックしていた。
「直真さん。残念なお知らせです」
「お前の残念なお知らせは一般的には普通のお知らせだけどな」
またアホなことを言うんだろうと頬杖をついて、有里の顔を眺めた。
「木村酒店の総司令官が夕飯食べに来いって言ってます」
「普通に呼べよ」
「お母様が食事でもどうですかと」
お母様なんて呼んでねぇだろ!?
こいつ、いらない意地を張るのだけはうまいな。
まあ、いい―――
「もちろん、伺う。今日か?」
「そうらしいです。魚屋のてっちゃんから北海道産鮭を丸まる一匹、買ったそうで」
てっちゃんって誰だよ?
鮭って一匹で買うものか?
「はー。てっちゃん、余計なことをしてくれましたね。いくら市場で安かったからって」
ブツブツと有里は文句を言っていた。
「せっかくお義母さんが誘って下さったんだ。文句を言うな」
「言いたくもなりますよ」
有里は溜息をついて、スマホ画面を眺めていた。