ネトゲ女子は結婚生活を楽しみたい!
「素人が盗聴器を仕掛けるなら、どこを選ぶか見ていた」

なにその、プロ発言。

「誰が仕掛けたんですか?」

瀧平社長?なんて、私は安易なことを考えていたけど、直真さんは違っていた。

「まだなんとも言えない」

どれたけ敵がいるんだよっ!

「それじゃ、社内を見回るぞ」

「はーい」

はー、初日からこれじゃ、先が思いやられるわ。
リアル三国志もいいとこだよ。
なんて殺伐した職場だよ。

「有里」

「はい?」

直真さんは腕を差し出した。

「ちゃんと掴んでろよ。俺の妻なんだろ?」

悪い顔をして笑っていた。
ほんっと、この人は悪魔みたいな人だよっ!
私の面白くないなって、気持ちをわかっていて、言っているから―――


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「直真お兄様ー!」

廊下の向こうから、駆け寄ってきたかと思うと、『あっ!』なんて、言いながらつまずくフリをした。
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