ネトゲ女子は結婚生活を楽しみたい!
「申し訳ありません。専務にはお弁当を用意してありますので」

「直真お兄様。私も明日からお弁当にします」

姫愛ちゃんがあからさまにぷいっと私から顔を背けると、しょんぼりしてみせ、きゅっと直真さんのスーツの裾をにぎった。
で、できる!!
直真さんは柔らかな笑みを浮かべ、その手をそっと離させる仕草も手慣れていて、それはそれで、なんとも言えない気分になったけど。
姫愛ちゃんに嫉妬より、『そういう技をどこで学ぶの?』って気分にさせられた。
どこで私は学び忘れてきたんだろう。
自分の歴史を振り返ってみても、ほとんどが世間では『黒歴史』と呼ばれる時代で思い出すのをやめた。
そうだ!私は前を向いて生きよう。
過去は振り返らないんだ!
私がうんうんと一人頷いていると隣の直真さんが『こいつ、またおかしいこと考えているんじゃないだろうな?』みたいな目で見て、なぜか顔を手で隠された。
ちょっと!?

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