ネトゲ女子は結婚生活を楽しみたい!
有里さんの手から、バサッと書類が落ちた。
まだ私は何もしてないし、言ってない。
それなのに目に見えて動揺していた。

「いえ!私は結構です!」

有里さんは必死な顔で直真お兄様にきっぱり断った。
私が『遠慮してちょうだい』なんて、いう隙も与えられなかった。

歓迎会とはいえ、他の女性と一緒に飲み会よ?
普通は腹が立つはずよね?
それなのに有里さんは顔色一つ変えない。
むしろ、『一人で行ってほしい』という気持ちが伝わってくる。

「やることがいろいろありますから」

「有里。みんなに挨拶をするのも仕事の内では?」

直真お兄様が有里さんに言ったけれど、頑なに拒否した。

「仕事は定時までの約束ですよ」

「こんな日もありますよ。せっかく歓迎会を開いてくれるんですよ?」

珍しく直真お兄様がしつこく誘った。
二人の間には見えない火花が散っているように思えた。

なに?なんなの?

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