ネトゲ女子は結婚生活を楽しみたい!
変装
「直真お兄様、仕事が終わったら、一緒に食事でもいきません?」
「すみません。今日は残業でして」
目をうるうるさせたお願いポーズが可愛い。
あんな技もあるわけね。
心のメモに残しておこう。
姫愛ちゃんはあの手この手で直真さんを誘惑していた。
使えるかどうかは別にしてよ?
女子としては勉強しておこうかなって余裕ぶっていると―――姫愛ちゃんが直真さんの手を握った。
「どうしても?」
ちょっ!それはだめでしょ!?
椅子から立ち上がり、スパンッと姫愛ちゃんの手に手刀を落とした。
ふう。
油断大敵。
「直真さん、書類どうぞ」
ついでにドサッとコピーが終わった書類を置いた。
「ありがとう。有里」
直真さんと目が合い、私を見てにこやかに微笑んでいた。
こ、このっ!
絶対にわざとだ!