片翼を君にあげる②
***
「ただいま」
自宅に帰宅したのは、まだ夕方と言うには少し早い時間だった。両親は仕事でまだ帰って来ていない筈だから、今家に居るのは姉であるランだけ。
靴を脱いで上がり、扉を開けてリビングに入ると姉はお気に入りの長いソファーで横になって寝ていた。
近くにあるテーブルの上を見ると、そこには何冊かの雑誌。夢の配達人の事が書かれている雑誌だ。
きっと、ツバサの記事を見てたんだ。
そう、すぐに分かった。
数日前、ツバサから久々にメールが届いた。
僕と姉さんとツバサの三人がメッセージを共有出来るグループメールの場に、『無事に一つ目の金バッジを獲得出来た』と言う報告だった。
その日はたまたま、僕達が夢の配達人の調査員見習いとして入隊した日で、新品の制服を着た姿を二人で写真を撮って送った。
僕達三人の幼い頃からの夢は、着実に一歩ずつ近付いているーー。
普段はあまりメッセージを送って来ないツバサも、その日は余程嬉しかったのか珍しく何回かやり取りをして……。久々に、楽しかったな。
花火大会の夜。ツバサを想い泣いている姉を見た時は、まるで自分の事のように胸が苦しくなって、彼の事を殴ってやりたいとも思った。
けど、やっぱり自分にとってもツバサはとても大切な存在。物心付いた時からずっと一緒で、兄弟のような親友なんだ。
そんな事を思いながら雑誌を手に取りパラパラと眺めていると、お昼寝から目覚めた姉がもそっと身を起こす。
「ん、っ……。
あれ?ライ、帰ってたんだ」
「あ、ただいま」
「おかえり〜早かったね。
付き合って半年記念だから、今日はお泊まりかとも思ってたよ」
「ははっ、よく覚えてるね」
ツバサは恋愛関係に疎いから全く気付いていなかったみたいだけど、姉には付き合った当初からバレバレ。色々聞かれたし、困った時はこちらから話して相談にのってもらった事もある。
だから、隠し事はしたくなかった。
「ただいま」
自宅に帰宅したのは、まだ夕方と言うには少し早い時間だった。両親は仕事でまだ帰って来ていない筈だから、今家に居るのは姉であるランだけ。
靴を脱いで上がり、扉を開けてリビングに入ると姉はお気に入りの長いソファーで横になって寝ていた。
近くにあるテーブルの上を見ると、そこには何冊かの雑誌。夢の配達人の事が書かれている雑誌だ。
きっと、ツバサの記事を見てたんだ。
そう、すぐに分かった。
数日前、ツバサから久々にメールが届いた。
僕と姉さんとツバサの三人がメッセージを共有出来るグループメールの場に、『無事に一つ目の金バッジを獲得出来た』と言う報告だった。
その日はたまたま、僕達が夢の配達人の調査員見習いとして入隊した日で、新品の制服を着た姿を二人で写真を撮って送った。
僕達三人の幼い頃からの夢は、着実に一歩ずつ近付いているーー。
普段はあまりメッセージを送って来ないツバサも、その日は余程嬉しかったのか珍しく何回かやり取りをして……。久々に、楽しかったな。
花火大会の夜。ツバサを想い泣いている姉を見た時は、まるで自分の事のように胸が苦しくなって、彼の事を殴ってやりたいとも思った。
けど、やっぱり自分にとってもツバサはとても大切な存在。物心付いた時からずっと一緒で、兄弟のような親友なんだ。
そんな事を思いながら雑誌を手に取りパラパラと眺めていると、お昼寝から目覚めた姉がもそっと身を起こす。
「ん、っ……。
あれ?ライ、帰ってたんだ」
「あ、ただいま」
「おかえり〜早かったね。
付き合って半年記念だから、今日はお泊まりかとも思ってたよ」
「ははっ、よく覚えてるね」
ツバサは恋愛関係に疎いから全く気付いていなかったみたいだけど、姉には付き合った当初からバレバレ。色々聞かれたし、困った時はこちらから話して相談にのってもらった事もある。
だから、隠し事はしたくなかった。