片翼を君にあげる②
「やっぱりボクも一緒に行く!」
「大丈夫か?」
「うんっ!
ツバサと一緒なら何だか怖くない気がする!」
大きく頷いてガッツポーズのように拳をグッと握ると、ツバサは微笑って「じゃあ、行くか」ってランタンを片手に洞窟に足を踏み入れた。
ボクも遅れないように後に続く。頼もしい背中を見つめながら歩いてるいると……。
「ーー俺は、人間の方が怖いな」
「!……え?」
「何でもない。行こう!」
……。
俺は、人間の方が怖いなーー?
ツバサは前を向いていたし、ボソッと呟くような声だったけど、ボクには確かにそう聞こえた。
虐められた事があるの?
誰かに辛い目に遭わされたの?
誰かに、傷付けられたの?
そう聞いてみようと思ったけど、どれも違う気がして……。この時ボクは、何も聞けなかった。
その言葉の本当の意味を、ボクは徐々に知っていく事になるんだ。