片翼を君にあげる②
「大体あのオッチャンは手加減なさ過ぎですよ!」
!っーー……おっ、ちゃん???
そ、それって、瞬空の事よね???
まさかと思った。が……。
「オッチャンになると、やっぱりものの考え方とか頑固になるのかなぁ?さっきだって……」
聞き違いかと思ったが、間違いない。
ハッキリと「おっちゃん」と言っている。
確かに瞬空は私よりもかなり歳上で、十代のジャナフ君からしたらもっともっと歳上という事になる。
けれど、あの瞬空をおじさん扱いする人を、私は初めて見た。
「っ〜〜……ふふっ」
「!……ノゾミさん?」
「あはっ、あはははははは………っ!!」
我慢出来なくて、私は笑った。
おかしくておかしくて、お腹が痛い。こんなに爆笑したのはいつぶりだろう。
「ふふっ、ごめんな、さいっ。
あの瞬空を「おっちゃん」なんて呼ぶ人、初めてでっ……ビックリして」
目尻に溜まった涙を指で拭いながらそう言うと、突然の爆笑に驚いていたジャナフ君が安心したように微笑った。
「大丈夫ですよ」
「!……え?」
「ノゾミさんは、とっても可愛い女の子です!」
「っ……」
そのストレートな言葉と笑顔に、キュンッとしない女の子はいないと思った。
癒されて、自分も自然と素直になれる。
「瞬空は、あれでもちゃんと手加減していたんです」
「えっ?」
「もし彼が全力で技を放っていたら、私はこんな傷ではすみませんでしたわ。彼は彼なりに、手加減してくれていました。
……でも、丸腰の状態だったツバサ君が受けていたら、三ヶ月は次の下剋上の予定が組めなくなっていたと思います。
だから私は、それを防げてとても満足しています。ツバサ君には絶対、レノアちゃんと一緒になってほしいから……」
こんなに自分の気持ちを誰かに話すのは久し振りだった。
チラッとジャナフ君を見ると、ただ彼は黙って私を見つめてくれている。話を聞いてくれてる。
私は続けた。