片翼を君にあげる②
レノアーノ。
彼女は血縁者以外で俺が唯一、裸眼で過ごしても大丈夫な大切な女性。
レノアに出逢えて、彼女が居てくれたから、俺は人間を嫌いにならずにすんだんだ。
人間でも心の綺麗な人はいるんだ、って希望を持って生きてこられた。
でも、やっぱりまだ自らの意志で他人の心の声を聴く勇気はなくて……。
そしたら成長する度に、本当は不気味なのは、怖い存在なのは自分の方なんじゃないか?って気持ちが生まれて……。
どんどん、どんどん、俺は他人を避けて行った。
人間が怖い。
でもそれ以上に俺は自分が怖い。
いつか何かが引き金となって、誰かを傷付けて、嫌われるのが怖い。
そう思って、なるべく普通の人でいられる人生を選んできたつもりだった。
それなのに、…………。
『……分かりましたかな?
己が弱ければ護るどころか、周りの人が傷付き倒れるのです。
その傷付く者がレノアーノ様でも、貴方はただ泣き叫ぶ事しかしないおつもりか?ツバサ様』
自分を信じられない臆病者の俺は、何もしなくても誰かを傷付けてしまった。
……
…………。