片翼を君にあげる②

ジャナフの言う通り夢の配達人ではなかなか歳が近い人がいなかったから、たまに隠れ家で顔を合わせては互いの成果やどんな仕事をして来た、とか話してたな。

「へぇ〜。
で、そのセトさんは今何してるの?」

「確か、俺が一回辞めた直後に金バッジになって……。今も金バッジじゃないかな?」

「えっ?じゃあ、そのうちツバサと下剋上?!」

「だろうな。
復帰してからまだ顔を合わせてないけど」

「ならば、久々の再会が下剋上じゃったりしてな〜?」

「あり得ますね、十分」

……
………ふとした話題から思い出した、セトの事。
俺は15歳の時に突然夢の配達人を辞めてしまい、その際に彼に一言も言えず別れてしまった事が当時ずっと気になっていた。

けれど、そんな俺なのにセトはサリウス王子との交渉に必要だった決め手。
「俺が負けた際、夢の配達人上位10名を無償かつ順番待ちで派遣する」と言う証文に力を貸してくれた。

お礼が言いたい。
そして、当時の事を謝りたい。
俺は、そう思っていた。

そんなセトとの再会が、もうすぐ側まで迫っているとは知らずにーー……。

……
…………。
< 184 / 262 >

この作品をシェア

pagetop