片翼を君にあげる②
目を、覚ませ。
「……。
そんな持ち方じゃ危ない。教えるから、よく見て」
俺は、俺。
俺にしか護れないやり方がある筈だ、と思い直すと、自分がどう接してもらえたら嬉しいか、を考えた。
だから、俺は"普通"に接する事にした。
対等で居たい、と言う彼女の気持ちを大切にしてやりたかった。
「ほら、こうやって……。なるべく皮は薄く剥いてほしい」
突然口調を変えた俺に、ジャナフはとても驚いていた。
でも、そんな彼とは対照に蓮葉様の表情は次第に祖国に居た時の明るさを取り戻していく。「ふむふむ」と、頷きながら俺の手元を見る目は真剣。
そこには、初めての料理に必死になる、ただの1人の少女が居た。
「出来るか?蓮葉」
「!ーー……っ。
当然じゃ!見ておれよ、ツバサ!」
俺が名前を呼ぶと、彼女はようやく飾らない笑顔で微笑ってくれた。