片翼を君にあげる②
胸に、初めて感じる痛みが走ったーー。
レノアとジャナフ。
大好きな二人が手を握り、微笑み合っている姿が眩しくて、痛くて……何より寂しかった。
先にレノアの前で蓮葉の手を取っていた男が、何を言うのか?
こんな感情を抱くのは間違いだ。
それに、二人は絶対に疑う必要なんてない程に白だ。
大好きな二人だからこそ、それは疑うどころか微塵も思っていない筈だった。
……でも、今の俺は普通じゃなかった。
二人を見て、大好きな二人だからこそ、俺に優しくしてくれる二人だからこそ、お似合いに映った。
弱くて、自信のない俺が、勝手に思い込んで妄想する。
《お前が化け物だと知ったら、
きっと二人はお前から離れて行く》
そう、誰かが心の中で囁くんだ。
……
…………。
「?……ツバサ、どうしたんじゃ?」
「っ……!」
蓮葉に声を掛けられてハッと我に返る。突然立ち止まった俺を、彼女は首を傾げて見上げていた。
俺はかなり視力が良くて、まだ少し先の方に居るレノアとジャナフをいち早く見付けてしまったんだ。そして、思わず歩みを止めてしまっていた。
「……何でもない。行こう」
そう蓮葉に声を掛けると、心の乱れを悟られないよう自然体を装い、テントがある……。レノアとジャナフの元まで足を進める。
「何をやってるんだ?」
「!……ツバサ!」
俺が声を掛けると、ジャナフは嬉しそうに微笑って迎えてくれた。
その表情からも分かる。二人が手を取り合っていたのはただの挨拶で、深い意味なんて欠片もない。
そう、思うのに……胸が、ザワザワする。
「お帰りなさい。
あのね、レノアーノ様が蓮葉様にお話があって来られたんだって」
「?……わしに」
ジャナフの言葉に蓮葉が首を傾げると、そんな彼女にレノアが歩み寄って言った。