片翼を君にあげる②
何を、恐れてるのーー?
『俺はな、綺麗でも、すごくもないんだよッ……!上辺だけ見て、分かったような口を利くなッ!!』
ねぇ?何でーー?
『何かあったら話せ、だ?
っ……よく言うよな。お前だって、何も言わねぇじゃん!隠してる事、あるんだろっ!?』
何で、泣いてるのーー?
『そんなんで友人面すんな!虫唾が走るッ……!!」
そう言った君は、まるで泣き叫ぶ子供のようだった。
……
…………。
ツバサと言い合って、1時間半程過ぎた。
「……ハァ、ハァ。っ……ふぅ」
気分転換をしたかったボクは走ったり、ツバサに教えてもらった体術の型やノゾミさんに教えてもらった剣術の伊達を一通りやって身体を動かした。
疲れた身体を休める為に地面に大の字になって寝転ぶと、目に飛び込んでくるのは綺麗な星空。明日もきっと良い天気に晴れるだろう。
でも、ボクの気持ちは曇ったままだ。
ツバサに酷い事を言われたからじゃない。当たってたからだ。
彼に言われた事は、全部全部、今の自分に当てはまっていた。
ツバサを綺麗ですごい、って。
何かあったら話して、って言いながら、ボクは自分もツバサに言っていない事がある。
……それなのに、勝手に、友達なったつもりでいた。
「距離を感じて、当たり前だよね……」
痛む胸は傷付けられたからじゃない。図星を、突かれたからなんだ。
それに、気になるのはツバサの様子。
ボクよりも傷付いているような……。そう、何だか、自ら嫌われようとしているようにも、見えた。
もしかしたら彼は、ボク以上に言えない気持ちがあるんだろうか?
「……う〜〜〜ッ!ダメだ、ダメだ!」
これ以上一人で悩んでいても、モヤモヤは募ってくるばかりでラチが開かない。
やっぱりもう一度ツバサと話そう!
そして、勇気がいるけど、今度こそ自分の事をちゃんと話そうと思った。
嫌われたくない。
けど、だからこそ……ちゃんと話さなきゃ!
ボクは地面から身体を起こすと、ツバサを捜しに走り出した。