片翼を君にあげる②
***
「……。
……っ、!……あれ?」
トボトボと、自分の足元を見るように俯きながら歩いていたボクは思わず顔を上げた。
村に戻ると、何だか騒がしい。ザワザワ、していた。
おかしいな、もう夜中なのに……。
周りに何もなくて、いわゆる田舎であるこの村の住人が夜更かしする事は珍しいと思った。
不思議に思いつつレノアーノ様と蓮葉様が居る小屋の方に足を進めると、何だか異様な光景が目に映る。
小屋の周りには人集りが出来ており、駆け寄ったボクがその中心を覗くと……。そこに居たのは怖い顔で仁王立ちした、レノアーノ様の侍女のレベッカさん。
そして、その前で地面に這い蹲るようにして土下座しているのは、この村の村長さんだ。
一体何事ーー?
そう思った直後。
レベッカさんはさっき会った時とは全く違う形相で村長さんの胸ぐらを両手で掴むと、膝立ちにさせたまま大きな怒鳴り声を上げた。
「レノアーノ様にもしもの事があったら、私は貴方を絶対に許さないわッ……!!!!!」
!!ーー……ッ、え?
その言葉に、目が覚めるのは一瞬だった。
レベッカさんの言葉とこの騒ぎの状況で、レノアーノ様に何かが起こったのだと一目瞭然。
ボクは人集りを掻き分けると、レベッカさんの元へ駆け寄った。
「レノアーノ様がどうかしたんですかっ?!」
「!っ、……ジャナフ、さん」
声を掛けるとレベッカさんはハッとして、少し冷静になったように村長さんの胸ぐらを放し解放すると、ボクに言った。
「すぐにツバサ様を呼んで来て頂けますか?レノアーノ様と蓮葉様が、この辺りを溜り場にしている賊に攫われました」
「えっ?!」
「野犬がうろついていたので、それを排除する為に離れた数十分の間に……。
村長がアメフラシである蓮葉様に不審を抱き、賊と手を組んで売ったのです」
「っ、……そんな、……」
言葉を失う。
村長さんや村の人達が蓮葉様を疎ましく思っていた事には、気付いてた。
でも、賊に売った、と言う悲しい現実にボクはショックを隠し切れなかった。
「……。
……っ、!……あれ?」
トボトボと、自分の足元を見るように俯きながら歩いていたボクは思わず顔を上げた。
村に戻ると、何だか騒がしい。ザワザワ、していた。
おかしいな、もう夜中なのに……。
周りに何もなくて、いわゆる田舎であるこの村の住人が夜更かしする事は珍しいと思った。
不思議に思いつつレノアーノ様と蓮葉様が居る小屋の方に足を進めると、何だか異様な光景が目に映る。
小屋の周りには人集りが出来ており、駆け寄ったボクがその中心を覗くと……。そこに居たのは怖い顔で仁王立ちした、レノアーノ様の侍女のレベッカさん。
そして、その前で地面に這い蹲るようにして土下座しているのは、この村の村長さんだ。
一体何事ーー?
そう思った直後。
レベッカさんはさっき会った時とは全く違う形相で村長さんの胸ぐらを両手で掴むと、膝立ちにさせたまま大きな怒鳴り声を上げた。
「レノアーノ様にもしもの事があったら、私は貴方を絶対に許さないわッ……!!!!!」
!!ーー……ッ、え?
その言葉に、目が覚めるのは一瞬だった。
レベッカさんの言葉とこの騒ぎの状況で、レノアーノ様に何かが起こったのだと一目瞭然。
ボクは人集りを掻き分けると、レベッカさんの元へ駆け寄った。
「レノアーノ様がどうかしたんですかっ?!」
「!っ、……ジャナフ、さん」
声を掛けるとレベッカさんはハッとして、少し冷静になったように村長さんの胸ぐらを放し解放すると、ボクに言った。
「すぐにツバサ様を呼んで来て頂けますか?レノアーノ様と蓮葉様が、この辺りを溜り場にしている賊に攫われました」
「えっ?!」
「野犬がうろついていたので、それを排除する為に離れた数十分の間に……。
村長がアメフラシである蓮葉様に不審を抱き、賊と手を組んで売ったのです」
「っ、……そんな、……」
言葉を失う。
村長さんや村の人達が蓮葉様を疎ましく思っていた事には、気付いてた。
でも、賊に売った、と言う悲しい現実にボクはショックを隠し切れなかった。