片翼を君にあげる②
下剋上ーー。
それは格下の者が格上の者に勝負を挑んで、自らの力で上へ上へとのし上がる制度。
しかし、今回俺が行う下剋上は通常のものとはかなり異なる。
この国とドルゴア王国。
国と国の今後を左右する程に重要な条件となったこの下剋上は、本来は銀バッジの夢の配達人が金バッジの夢の配達人に勝負を挑み、成功すれば即金バッジへ昇格。また金バッジの夢の配達人が白金バッジの夢の配達人に勝負を挑み、成功すれば即白金バッジへ昇格。と、一回ずつの下剋上を成功させれば昇格出来るものと違い、現在の金バッジ7名、白金バッジ3名の全てに下剋上を挑み、成功させなくては達成にならない。
また、本来は下剋上を起こす格下が挑戦者。下剋上の戦線布告を受けた者が応戦者となり、格下である挑戦者が自分の得意分野で勝負内容を決める事が出来る。
が、俺の場合は勝負内容を決めるのは応戦者側。つまり、相手がどんな得意分野で勝負を要求してこようと拒否権はなく、勝たなくてはならない。(もちろんあまりに無理な勝負内容は最高責任者が止めてくれる)
それに、下剋上の日程は相手側次第。
依頼が殺到していて毎日が忙しい上位の夢の配達人が大丈夫そうな日を、最高責任者やノゾミさんが相談してくれて決まり次第連絡がくる。
(これは決められた1年間と言う期間の中でスムーズに全ての下剋上を進めていく為でもある)
故に、下剋上の順番は10名のランダムでいきなり金バッジを飛ばして白金バッジと当たる可能性も十分にあった。
そんな中で俺が最大限出来る事は、いつ連絡が来てもいいように、常に万全な状態で待機している事。
そして、ついにこの時が来た。
けど、その下剋上の内容は思っていたものと全く違っていてーー……。