片翼を君にあげる②
***
天邪鬼な気持ちが交差するーー。
君にはもう嘘を吐かないと決めていたのに、また嘘を吐いていて……。一生隠すと決めたのに、つい言ってしまった。
「愛してる」
「っ……?」
「愛してるよ……」
演技をしながら、僕はずっと自分の本当の気持ちを言い続けていた。本当の自分では永遠に言えない言葉を、演技と偽って君に伝えていたんだ。
抱き締めていた力を緩めて少し身体を離すと、ツバサは目を見開いて僕を見つめた。
左右とも漆黒の瞳。母が作ったアイレンズを装着しているから心を読む能力は発動していないようだ。内心ホッとして、人差し指でツンッとツバサの額を押す。
「僕の勝ちだね」
「あ……」
「アドリブに動揺するようじゃ、まだまだ。白金バッジはお預けだ」
本当は充分だった。
君の演じる桜はとても可愛らしくて、ドキドキして、ずっと見ていたくなる程だ。
でも。だからこそ、もう少し君を見させてーー?
白金バッジがエサでもいい。
君が僕に夢中になってくれるならーー……。
「……じゃあ」
「!……ミライさん!待って下さい!」
「……。なに?」
「あのっ……ありがとうございました!
サリウス王子との交渉の件も、今日の事も……。本当に、ありがとうございましたっ。
俺、頑張ります!絶対に次は負けませんから!」
何処までも真っ直ぐで、純粋なツバサ。
どうか、これからも変わらないでね?
「楽しみにしてるよ」
ツバサの頭を撫でて、「どうか無事に」と祈った。この子に降り掛かる不幸は、自分が全て引き受けたい、と……。
そして、ゆっくりと立ち上がって、背を向けると僕はその場を後にした。
……
…………。
天邪鬼な気持ちが交差するーー。
君にはもう嘘を吐かないと決めていたのに、また嘘を吐いていて……。一生隠すと決めたのに、つい言ってしまった。
「愛してる」
「っ……?」
「愛してるよ……」
演技をしながら、僕はずっと自分の本当の気持ちを言い続けていた。本当の自分では永遠に言えない言葉を、演技と偽って君に伝えていたんだ。
抱き締めていた力を緩めて少し身体を離すと、ツバサは目を見開いて僕を見つめた。
左右とも漆黒の瞳。母が作ったアイレンズを装着しているから心を読む能力は発動していないようだ。内心ホッとして、人差し指でツンッとツバサの額を押す。
「僕の勝ちだね」
「あ……」
「アドリブに動揺するようじゃ、まだまだ。白金バッジはお預けだ」
本当は充分だった。
君の演じる桜はとても可愛らしくて、ドキドキして、ずっと見ていたくなる程だ。
でも。だからこそ、もう少し君を見させてーー?
白金バッジがエサでもいい。
君が僕に夢中になってくれるならーー……。
「……じゃあ」
「!……ミライさん!待って下さい!」
「……。なに?」
「あのっ……ありがとうございました!
サリウス王子との交渉の件も、今日の事も……。本当に、ありがとうございましたっ。
俺、頑張ります!絶対に次は負けませんから!」
何処までも真っ直ぐで、純粋なツバサ。
どうか、これからも変わらないでね?
「楽しみにしてるよ」
ツバサの頭を撫でて、「どうか無事に」と祈った。この子に降り掛かる不幸は、自分が全て引き受けたい、と……。
そして、ゆっくりと立ち上がって、背を向けると僕はその場を後にした。
……
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