僕が愛した歌姫
☆☆☆

「どうなってんだ……」


俺はあまりにもあっけなくてそう呟いていた。


普通、誰か止めるだろ。


警備員とか、ナースとか。


だけど、誰も俺を止める者はいなかった。


白衣に黒ぶちメガネをかけて、松葉杖をついた医師。


つまり、俺が今当たり前のように院内へ入ることが出来たのだ。


「ありえねぇって……」


当然、入り口で止められると思っていた俺はその場に立ち尽くしてしまう。


これからどうすればいいんだ?
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