僕が愛した歌姫
☆☆☆

まるで悪夢の中をさまよって抜け出せなくなってしまったように、体がダルイ。


アパートへ戻ってそのままセンベイ布団に寝転ぶと、リナの言葉を思い出す。


『失敗したの……』


『実験は、失敗したのよ……』


実験は、失敗?


ごろんと寝返りを打って、痛む頭をかきむしる。


実験は失敗した。


確かにリナは俺へ向けてそういった。


同じ病棟にいるクウナちゃんという女の子が亡くなって、だけど葬式はしないと言って――。


見たことのない、大きな花が咲いていた。


断片的に脳裏に蘇ってきてストーリーが繋がらない。


待て。


落ち着け。


俺はなにかが引っかかってるんだ。


なにが引っかかってる?
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