僕が愛した歌姫
☆☆☆

低い聞き覚えのある声に呼ばれて、俺は目を覚ました。


見慣れた部屋の中。


どうやら俺は考えながらも眠ってしまったらしい。


「霧夜さん……」


目の前で仁王立ちしている霧夜さんに、俺は小さなため息を吐き出す。


「不法侵入ですよ」


「もう朝だ」


言われてレースのカーテンを引きっぱなしにしている窓を見れば、確かに日が高い。


だからと言って部屋に勝手に入ってきていい事にはならないが。


「昨日、病院へ行ったのか?」
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