僕が愛した歌姫
霧夜さんは、俺の短い返事に何度も何度も頷いた。


「いいんだ。それでいいんだ」


「え……?」


聞き返す俺に向けて、少しだけ涙のにじんだ目を向ける霧夜さん。


「人は神にはなれないんだからな」


グスッと鼻をすすって、そう言った――。
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