僕が愛した歌姫
ヒロシの答えに、俺は拳を突き出して見せた。


ぶん殴れ。


の、合図だ。


するとヒロシは楽しそうに声をあげて「じゃぁそれは俺に任せとけよ!」と、自分の胸を叩いていった。


「ヒロシ1人でかなう人数じゃねぇだろ」


「そんなの行ってみなきゃわかんねぇよ。とにかく誰かに気づかれたら俺がおとりになって逃げるから、その間にリナちゃんを連れて逃げろ」


「いいのか?」


「まかせとけ」


ヒロシは再び胸を叩き、ニッと笑って見せたのだった。
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