僕が愛した歌姫
そして、病棟の壁にへばりついて入り口を確認するとそこには2人の警備員が立っていた。


「2人もいんのかよ」


俺は舌打ちをして呟く。


夜中で人の通りも全くないくせに、しっかり見張っている。


「どうする?」


ヒロシに言われて、俺は返事をする前に病棟内の地図を確認した。


ここですぐにバレてしまったら、俺たちはもうリナを連れ出すことが出来ないだろう。


頭の中でリナの部屋までの道のりを想像し、慎重に行動しないといけない。


と、その時だった。


ついさっきまで隣にいたヒロシの姿がなかった。


「ヒロシ……?」
< 151 / 187 >

この作品をシェア

pagetop