僕が愛した歌姫
☆☆☆

最寄の駅でちょうど到着した電車に乗り、客の少ない車内で身を寄せ合うようにして座る。


「平気?」


「大丈夫」


意外な事に、俺よりもリナの方がしっかりと前を見据えていて、体も震えていなかった。


フェンス越しでは見えなかったリナの強さだと、俺は思った。


「ねぇ、ナオキ君」


そっとリナが俺の肩に頭をもたげて言う。


俺は、その肩を抱いた。


「あと2時間なの」


「……2時間?」
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