僕が愛した歌姫
魂種(こんしゅ)
俺たちが電車から降りたのは、聞きなれない地名での事だった。


「おりようよ」


黙ったままずっとよりそっていたリナが小さくそう言ったのだ。


「このまま電車に揺られてたら少しだけ後悔しそうだから」


はにかんだ笑顔でそう言った彼女。


その言葉の意味を無駄に時間を費やしたくないんだろうと解釈して、俺は次の駅で下車した。


「すごぉい、綺麗」


下車してすぐに潮の香りがして、俺たちはそれに導かれるように砂浜へ出てきた。


海の中に噴水を沈めているらしく、ライトによって七色に光る水が吹き上がっている。


「すごいな……」
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