僕が愛した歌姫
その光景に、俺は素直に言った。


「適当に下りて歩いてただけなのに、こんなのが見えるなんて……」


感動したように目を輝かせ、ピッタリと俺に寄り添ってくるリナ。


今更ながら、このリナが本物の歌姫リナなんだと思って緊張してしまう。


心臓がドキドキとうるさくて、リナにキスをしてしまった自分を思い出して赤面した。


「ねぇ、ナオキ君」


「な、なに?」


「約束……」


「約束?」


忘れたフリをして聞きかえしたけど、本当はシッカリと覚えていた。


忘れるワケがない。

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