僕が愛した歌姫
眩しくて、リナを直視することができない。


ギュッと目をつむり、光が和らいだ時――。


俺を含め、追っての時間も止まった。


つい数秒前までリナがいたその場所に、今は大きな花が咲いている。


白くて、綺麗な花。


「リ……ナ?」


声を出したのは俺じゃなかった。


白髪まじりの中年男性が、砂浜に膝をつく。


きっと、リナの父親だ。


リナ……。


リナ、リナ、リナ!!


悲しみを思い出したように、次から次へと涙が溢れ出してきた。


リナ?


お願いってなんだよ。


言いかけといて途中でやめるなんて、卑怯だぞ。


『私が開花したら――』


お願いだよ、次の言葉を教えてくれ。


なぁ、リナ――!?
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