僕が愛した歌姫
『私が開花したら――』
この事件を忘れないで。
きっと、そう言いたかったんだと思う。
あの後すぐに取り押さえられた俺は、ヒロと霧夜さんの3人で研究を中止するように求めた。
最初は手ごわい相手だと思っていたのだけれど、リナがいなくなって抜け殻のようになった研究者たちは「もう魂種を作る理由はどこにもない」と、疲れきった顔をして言った。
その姿を見ると胸が痛んだが、仕方がない。
人は神にはなれないのだから。
で、俺がリナのメッセージを受け取ったのは、その後のことだった。
あの日着ていた警備員の服が不要になったので返しにいこうとした時――。
「あれ?」
ズボンのポケットに違和感があった。
この事件を忘れないで。
きっと、そう言いたかったんだと思う。
あの後すぐに取り押さえられた俺は、ヒロと霧夜さんの3人で研究を中止するように求めた。
最初は手ごわい相手だと思っていたのだけれど、リナがいなくなって抜け殻のようになった研究者たちは「もう魂種を作る理由はどこにもない」と、疲れきった顔をして言った。
その姿を見ると胸が痛んだが、仕方がない。
人は神にはなれないのだから。
で、俺がリナのメッセージを受け取ったのは、その後のことだった。
あの日着ていた警備員の服が不要になったので返しにいこうとした時――。
「あれ?」
ズボンのポケットに違和感があった。