僕が愛した歌姫
☆☆☆

ヒロシに散々笑われた俺はなんとしてでも、あの少女の正体を暴いてやろうという気持ちで燃えたぎっていた。


あれだけ笑われといて『そうだね。見間違いだったみたいだよ』なんて言えるかっつぅの!!


ってか、マジで見たんだからなっ!


それが原因で俺は一睡もできなかったんだからな!


自分自身にそう言い聞かすそうに心の中で叫び、ふんっ! と鼻息を荒くしてベッドを降りた。


昨日と同じように松葉杖をついて廊下へ出る。


そして、廊下の突き当たりにある非常階段を見つめた。


あそこだ……。


あそこを3階まで降りたところに渡り廊下があって、そこに幽霊の女がいた。


うん。


間違いない。


暗闇の中夢を見ていたのかと一瞬思ったけど、あれは絶対に夢じゃない。
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