僕が愛した歌姫
《甘いキスの味知ってる?


ハチミツみたいに甘くって レモンみたいにすっぱくて


だけどね


その味は人それぞれ


経験した人にしかわからない 甘い甘いキスの味


苦い苦い喧嘩のあと 必ずやって来るあなたのキス


少しぎこちなくて ごめんね って囁かれてるみたいで


可愛くて 全部許しちゃうあたし


あなたからの ラブリーキス》


どこまでもどこまでも聞こえそうな、透き通った彼女の歌声。


テンポのいい可愛いメロディが、リナにはよく似合っている。


歌い終わった彼女は大きく深呼吸をして、頬を紅潮させて俺を見た。


「さすが歌姫」


拍手を送ると、リナはワンピースを裾をつまんで「ありがとう」と、お辞儀をした。


俺はミニライブを見終わった気分で、俺だけが彼女の歌を聴いたのだと思うと感動して涙腺が緩んでしまっていた。
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