僕が愛した歌姫
☆☆☆

やけにリナ情報について詳しいヒロシが帰ったのは夕方近くになってからだった。


ヒロシがいようがいまいがおかまいなしに昼寝した俺。


だって、今日もそりゃぁもちろん、行く、だろ?


昨晩のリナの言葉を思い出す。


顔を真っ赤にして『それじゃ、また夜中』って言ったんだ。


『さようなら』じゃなくて、『また』って。


思い出しただけでも顔がにやける。


夜に近づくにつれて気分は盛り上がってくるのだけれど、昨日のように突然キスなんてしちゃいけない。


と、自分に言い聞かせる。


どんなに可愛くても。


どんなに触れたくても、我慢なんだ。


ある意味拷問のような仕打ちだけれど、あんな写真を撮られてしまった以上仕方が無い。


本当なら、今日は会わない方がいいのかもしれない。


でも……。


俺はすでにリナに会いに行く気満々だったのだった――。
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