僕が愛した歌姫
☆☆☆

怒鳴られると身構えていた俺はそっと顔をあげて、土下座したままのお兄さんを見た。


その大きな肩は小刻みに震えていて、大きく呼吸を繰り返している。


「あの……?」


自体の成り行きが全く見えず、混乱する俺。


と、とりあえずここは頭を上げてもらうことが一番だよな。


そう思い、同じように膝をついてその肩にふれた。123


すると、眉をたらして目に涙の膜を張った状態でお兄さんが顔を上げたのだ。


その表情からは本気さがヒシヒシと伝わってくる。


「リナちゃんを助けるって……それ、どういう意味なんですか?」


「助けてくれるのか?」


「それは……状況次第ですけど……」


「ハッキリと、イエスかノーで答えろ!! あいつを助けてくれるのか!?」
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