僕が愛した歌姫
☆☆☆

退院という時間制限を聞いて行動力のスイッチが入った俺は、ナースステーションでさっきの鳥越ナースと話をしていた。


ここに入社して3年目だという鳥越ナース。


恋人はいなくて、今は仕事が楽しくて仕方ないんだそう。


仕事柄爪は短く切っているけれど本当はネイルアートが得意で、休日は派手なネイルチップを付けて出歩くらしい。


「へぇ~手先が器用そうだもんなぁ~」


俺はナースステーションの隅っこで興味津々といった感じで鳥越ナースの指先を見る。


「器用ってほどじゃないですよ」


恥ずかしそうに言って、小さく笑う鳥越ナース。


よく見ればこの人もなかなか可愛らしい顔をしていて、ヒロシの好みそうな雰囲気だった。


「残念だなぁ~俺退院したら鳥越さんともう会えないんだぁ」


「な、なに言ってるんですかっ!」


素直に照れちゃって、可愛い。
< 77 / 187 >

この作品をシェア

pagetop